「あれ、美乃里、これなに?」
私が、どうしようかと悩んでいると、さゆちゃんが机の横に掛けられた紙袋に気づいて指さした。
「あ……それは……えっと、」
思わず口ごもってしまう。
どっから説明すればいいんだ。
「え、なんでそんなに言いたくなさそうなの」
と萌ちゃんのツッコミ。
「……っ、」
いつかはふたりに話さなきゃと思っていた。
水牧くんとのこと。
騒がられるのは目に見えているけど、一応、ふたりは水牧果歩のファンだから。
そんなふたりに黙ったまま、彼と関わるのは避けたい。
「うんと……実は、」
重い口を開いて、私は水牧くんとの関係を話した。
水牧くんがパパのお店の常連客だってこと、色々あって週末には一緒にキャンプに行くことになり、これはその時に借りたパーカーだと言うこと。