親切にしてもらったことにちゃんとありがたいって気持ちはあるけれど、

こういう、慣れてるようなひとつひとつの言動が、彼を危険だって思わせるんだ。

簡単に信用なんてできない。

でもまさか、私にもこんな風にするなんてちょっと意外だった。

お昼に手をかそうとしてくれた時も。

「なんか、水牧くんの印象ちょっと変わったかも」

ポロッと心の声が出てしまう。

「なに。俺のこと好きになった?襲ってあげようか」

「サイテー。前言撤回」

少しでもパパの言う通り、実はいい人かもしれないって一ミリでも思ってしまったのを後悔する。

「そんなすぐ怒んないでよ。俺は大歓迎だよ。美乃里ちゃんの方から『お願いします、抱いてください』って泣きながら頼んでくれたら」

「バカ。言うわけないでしょ」

「あ、それとも─」

そんなニヤついた声が聞こえて、腕を掴まれたのは一瞬のことだった。