「さっき果歩くん『俺みたいなの』って言ったけどさ、今の言葉、人にかけれられるってすごいことだよ。果歩くんは、好きになった人をちゃんと大切にできる男だと思う。本当だよ」
「剛さん……」
「すぐにとはいかないかもしれないけど、果歩くんがいつか本当に大切な失いたくないって思う人ができた時、少しは気持ちが変わると思うよ」
なんでそう、この人は。
俺の全部知ってるみたいに寄り添った言葉をかけてくれるんだろう。
初めてお店に言ったときもそうだった。
『我慢、しなくていいよ』
あの日を思い出して、目頭が熱くなっていると、
「ちょっとふたりとも!なにコソコソ話してるの!時間ないよ!次、火の準備」
雑に勢いよくテントの入り口が美乃里ちゃんによって開けられた。
「はーい!……ふはっ、本当、ママにどんどん似るなぁ……。よし、いこっか果歩くん」
そう言う剛さんの横顔がとても愛おしそうで。
「はい」
俺はそう返事をして、剛さんと一緒にテントを出た。



