モテすぎる男子から、めちゃくちゃ一途に溺愛されています。


「時間取るのが難しいのは、剛さんの仕事が忙しいからじゃないですか。でも、その仕事だって家族を養うためだから。それは美乃里ちゃんにちゃんと伝わってると思います。だからあんなに早起きして弁当作り続けられるんですよ。剛さんも美乃里ちゃんもお互いのこと思い合って良くやってると思います。今日だって、剛さんせっかくの休みなのに、里柚ちゃんと柚巳くん喜ばせるためにこうして時間とっているから」


家族だけじゃない、剛さんは、俺のような常連客にだっていつだって気さくに親身に話してくれる。

料理がすげぇ美味しいのはもちろんだけど、剛さんの人柄が、さらに店をよくしてる。

「……ん。……あー、ダメだな。涙腺ゆるゆる。年だなぁ。娘とガッツリ同い年の子にそんなこと言われちゃったらさ〜」

顔を背けた剛さんが、笑いながら言うけど、鼻をすする音が聞こえて。

心なしか声も若干震えている気がした。

「ありがとうね。果歩くん。すっごい元気になった!」

剛さんはそう言ってテントを出ようと身体を浮かせて、俺にその大きな背中を見せながらふたたび口を開いた。