「どーなの、果歩くん。そこんところ。彼女とか。めちゃくちゃモテるでしょ?」
「やー、なに言ってるんですか。全然ダメっすよ。俺みたいなのは」
一時的な快楽を得ることだけに頭を使うことで、いろんなこと見て見ぬふりしてる俺には、
誰かを愛するとか愛されるとか、似合わない。
月本家を見てそれをさらに実感した。
俺には絶対、作れない絆。
「剛さんは、すごいっすよね。家族すげぇ大事にしてて」
奥さんが亡くなっても、ずっと一途に思ってる。時々、お店でも奥さんの話をしてくれていた。
きっと元々持ってる素質が違いすぎる。
「どーだろうな。今の僕は、美乃里にたくさん負担かけすぎちゃってるし。双子との時間もあんまりとれてない。なによりも一番大切だって思っているけれど、それがあの子たちに伝わっているかは自信ないよ」
「剛さん…」
剛さんほどの人が自信ないとか言ったら、他の連中みんなダメじゃん。



