「よーし!完成!」
「はいっ」
出来上がったテントに剛さんとふたりで入ってちょっと休憩。
思ったよりも、快適だ。
初めて組み立てたにしては時間もかかりすぎず、うまくできたと思う。
「いやぁ、果歩くんいなかったら夜になっても終わってなかったよ。ほんと、ありがとうね。やっぱり若いって違うなーとっても頼りになる」
「剛さん、大げさっすよ」
「全然。けっこう真剣に、婿に来て欲しいよ」
「なっ……」
婿って、いくらなんでも……。
「美乃里が聞いたら恥ずかしがって怒るから、これね。照れ屋なんだよねあの子」
なんて言いながら口に人差し指を当てた剛さん。
照れ屋とかの問題じゃなくて、シンプルに俺のことすげぇ嫌いだから怒るんすよ。
それに、冗談でも、大事な娘とこんな俺とどうにかなんて。
父親ならなおさら、言っちゃダメだろ。
人が良すぎる。



