まさか、ほんとうに剛さんの家族とキャンプに行くことになるなんてな。
実を言うと、キャンプなんて今まで一回も行ったことなかったから、参加するかもしれないってなったその日に、
急いでスマホで持ち物なんかを調べた。
こんなこと恥ずかしくて誰にも言えないけど。
「あれ……」
目の前を横切ったふんわりと揺れた髪に、思わず声が出た。
「なに」
ギッと明らかに嫌そうな目つきが向けられる。
「あ、いや、髪……」
「え?」
この間泊まった日も美乃里ちゃんは髪を結んでいたけど、
下の方で簡単に結んでいるものだったから。
「いいね。かわいい」
「はい?」
ポニーテール。
美乃里ちゃんにあまりにも似合っていたからつい。
自分でも意味がわかんねぇ。



