「好きです、オムライス」

「そう、よかった」

ホッとしたようにそう言ったパパが、そのまま水牧くんの斜め向かいに腰を下ろす。

ていうかほんっと、水牧くん猫かぶりすぎじゃないの?

学校でのキャラと全然違うんだけど。

『です』『ます』とか言えるんだ。
敬語とかと無縁の人かと思ってたよ。

そもそも目の前の彼が本当に水牧果歩なのか未だに疑う。

でも、さっき洗面所で話したのは明らかにあの水牧くんだった。

なぜか、ちょっと勝ち誇ったような顔。
本性バラされたらまずいのは水牧くんのはずなのに。

「うまっ!剛さん、これすっげぇうまいです。洋食もいけるんですか」

「ふはっ、お口にあってよかったよ。果歩くんほんとうまそうに食ってくれるから作りがいあるんだよなぁ」

「めちゃくちゃうまいんで」

なにあれ。