時刻は午前9時。
私と水牧くんは、学園祭の振替休日。

パパと双子は仕事と幼稚園。

柚巳たちを幼稚園に送ってから、家に戻って。

水牧くんが起きた時に食べられるようにとたまご雑炊を作る。

昨日、パパも色々と作り置きしといてくれたけど、今は朝だし。

もう少し食べやすいものの方がいいかと。

雑炊を作り終わってから、

リビングのローテーブルで勉強しながら、水牧くんが起きてくるのを待つ。

『パパとか柚巳たちいるし』
昨日、水牧くんにはそんなことを言ったけど、事実、昨日の夜はそうだったけど。

でも、今は違う。

完全にふたりっきり。

この家に水牧くんとふたりきりなんて、そんなことを思った瞬間から、

勉強なんて手につかないわけで。

いや、なにかあるとは思ってないけど。
相手は病人だし。

でも……。

すぐ隣の部屋にいるのに、ふすま一枚で仕切られてるだけでなんだか遠いところにいるみたいで。

変なの。

顔が見たい、寂しい、なんて。