「やっば……」
両手で顔を押さえて天井を見る。
「え、美乃里ちゃん、本当に俺のこと好きなの」
緩みそうになる口元を隠しながら聞くと、
「……っ、何度も言わせないでよ」
そう言ってプイッと顔を背けた美乃里ちゃんの耳が赤い。
……やっば……かわいすぎんだろ。
マジかよ。
「……いつから」
「し、知らないっ…………って言うのはうそで、」
ポツリポツリ話しながら目をキョロキョロ泳がせてるのがかわいすぎて。
月明かりに照らされた、薄暗い空き教室。
好きな人とふたりきり。
こんななか触れないなんて、生き地獄すぎる。
理性が失われそうになりながらも、なんとか彼女の紡ぐ言葉に意識を集中して。
「……試着室で、水牧くんが、私に興奮しないって言った時……ショック受けてる自分がいて、」
……俺、今日命日じゃんか。
目の前にいるのは本当に、あの美乃里ちゃんなの?
なんか変なものでも食べてしまったんじゃないかと疑ってしまう。
まさかあの時、美乃里ちゃんがそんな風に思っていたなんて。



