「だって、結婚式にチューするでしょ。今日おねえちゃん、果歩に……」

「ああちょっと一旦黙って柚巳っ」

慌てて彼の口元を押さえるけど、あまりにも遅すぎた。

みんなの前でなんてこというのよ、子供恐ろしい。

「あーおねえちゃん顔真っ赤〜りんごみたい〜」

「里柚も……ほんと勘弁して……」

この顔の熱は自分が一番自覚しているんだから。

「パパは、大歓迎だぞ!ね!果歩くんっ」

ちょっとパパ……。
この家族、お手上げすぎる。

しかも水牧くんに振らないでよ。 

「……それは、美乃里ちゃん次第かと、」

「なっ、」

隣からまたおかしな答えが聞こえてしまったので、思わず目を向けたら。

「ね」

と得意の笑顔で言われて。

その表情にまたうるさく心臓が鳴った。