モテすぎる男子から、めちゃくちゃ一途に溺愛されています。


「……っ、頑張った」

パフォーマンスが終わり、水牧くんと並んで舞台裏へ戻った瞬間。

グイッと腕を引っ張られて。

私はそのまま、水牧くんの腕の中へと収まった。

「……っ、」

あまりにも優しい声が耳元から入って、私の体の中全部に沁みる。

「ありがとう、美乃里ちゃん」

そう言った水牧くんの声が掠れていて。

「っ、ちょっ、」

あんまり強く抱きしめてくるもんだから少し引き離そうとその肩に手を添えれば。

小刻みに震えていた。

……な、なんで。

なんで水牧が震えるの。
意味わかんないよ。

「水牧くん……」

「今日が昔以上に美乃里ちゃんのトラウマになったらどうしようって、……怖かった」

「……っ」

嘘。
そんなこと考えてたの。

全然わからなかった。
水牧くんはいつも通りで。

いつも通り、みんなの王子さまで。
私も気付けば夢中で。だから……。