「さぁ、みなさん、今年もやってきました!梓ヶ丘高等学校ミス・ミスターコンテスト!!司会を務めますのはわたくし──」

舞台の袖。

司会をする先輩の声がマイクから伝わって。
盛り上がった観客の声が響きわたる。

……す、すごい盛り上がっている。

「うっわ、月本ちゃんやばー」

私たちの後にやってきた男性陣の中のひとひが、こちらを見てそう言った。

「めっちゃ可愛いね〜こりゃやばいわ」

「ちょっと、ライキ、あんた私とペアでしょ?美乃里ちゃん、可愛いけどさ!」

「っ、」

この人たちはたしか3年生。

バッチリ決まったメイクと赤を基調にしたドレスがものすごく似合っている。

そんな人たちに褒められて、お世辞だとしても悪い気はしなくて。

それでも、それよりもずっと緊張で心臓がおかしくなりそう。

褒められれば褒められるほど、絶対に失敗できないって思うから。