「すっごい美味しかった。水牧くん、今日は何から何までありがとうっ」

彼の教室の前でペコッと頭を下げる。

「……お礼言うのはこっちだから。付き合ってくれてありがと」

「……っうん、」

水牧くんと関わるようになってわかったこと。彼は思ってたよりもたくさん『ありがとう』を言う人。

『付き合ってくれて』
そのセリフにそれ以上の意味なんてないのはわかっているのに、また胸の音が速くなって。

まだ一緒にいたいなんて思ってしまう。

「……あのさ、美乃里ちゃん」

名前を呼ばれて顔をあげたら、スッと目を逸らされた。

そんな彼の耳がほんのり赤い気がして。

「アズコン、終わったら……」

「あー!!美乃里こんなところにいたー!!」

水牧くんの声を、後ろから聞こえた聞き慣れた声がさえぎった。