「えっ……」
考えごとでうまく思考が回らないでいると、
「夢中すぎ。妬くわ」
「っ、」
突然、水牧くんの手が伸びきてその指が私の口端を拭った。
一気に心拍数が跳ね上がる。
うるさい。外の音が聞こえなくなるぐらい。
自分の胸の音が。
せっかく、どうにか自分を落ち着かせようとクレープに集中していたのに。
またしても頭の中は目の前の彼でいっぱいになってしまう。
なんでそういうことばっかりするの。
水牧くんの行動に固まってしまっていると、フッと笑った彼が、そのまま指についたクリームを舐めた。
「うま。俺も甘いのにすればよかった」
いや……。
どんな甘いクレープよりも。
今は、キミがいちばん甘いから。



