「ほんとごめん、急いで今から取りに───」
そう言って、急いで教室に戻ろうとした瞬間、肩を優しく掴まれた。
へっ。
そのまま体が引き寄せられて、全身が甘い香りに包つまれる。
な、なに、ごと。
後ろから水牧くんの腕が首回りに巻きついていて身動きが取れない。
周りから「きゃー!」という黄色い声が聞こえて、この状況が現実なんだと再確認する。
「ちょっ……」
「……離れんな」
っ?!
ふっと耳元にかかった低い声に、ドキンと大きく胸が鳴る。
熱い。
耳も、顔も、身体も、全部。
あまりにも突然のことすぎて固まってしまう。
ここは外。たくさんの人がいる。
こんなところでこんな大胆なことをして……。
いや、あのプレイボーイで有名な水牧くんが公衆の面前でこういうことしても、
違和感はないのかもしれないけど!!
今の私にとっては刺激が強すぎるからっ!!



