モテすぎる男子から、めちゃくちゃ一途に溺愛されています。


〈美乃里 side〉

仲直り、ってことでいいのかな。

『美乃里ちゃん行きたいところある?』

空き教室を出てすぐに、水牧くんがそう聞いてくれて。

『クレープが食べたい』という私の要望に答えて、校舎の外の中庭に並んだ模擬店へと向かってくれた。

水牧くんに突然連れられてからずっと、心臓がうるさい。

久しぶりに話してこんなにドキドキするなんて。

「あいつ……泰生と何話してたの」

人ごみをかき分けながら、水牧くんがボソッと聞いてきた。

「あぁ、えっと、菱田くんがクラスの宣伝チラシ配ってて、もらったの」

そう言いながらワンピースのポケットから四つ折りにしたチラシを見せる。

『お化け屋敷カフェ』と、不気味なフォントで書かれたチラシ。

「私のこと知っててくれて、アズコン応援してるって言ってくれて」

菱田くんが水牧くんの友達だったっていうのは、ほんとついさっき知った。