「美乃里ちゃん、」
「おかしいってわかってる。最初は水牧くんのこと大嫌いだった……でも、さっき、水牧くんと目が合ってこうやって話しができてること、……嬉しいの」
世界が俺を殺そうとしているんじゃないかってぐらいの破壊力。
今、思いのまま彼女に触れられたらどうなってしまうだろうか。
夢じゃん……こんなの。
美乃里ちゃんが、俺と話せて嬉しい、とか。
「……ひ、引かないでよ」
「いや、なんでそうなんの。引いてないから」
「だって、何も言わないからっ」
「っ、そりゃ、なんて言えばいいかわかんねぇだろ」
嫌われてると思っていた相手から、そんなこと言われたら誰だって驚きで、言葉なんて簡単に出てくるわけがない。
「やっぱり引いてるじゃん……穴掘って入りたい」
「あーーーー、ほんと全然違うから、待って本当に」
もう絶対、間違えたくないから。
とっさに彼女の手を握った。



