「うん。アズコンのことも柚巳たちのことも。だから、頑張ってみたいって思える余裕ができた」
そんな、おおげさな。
「俺、なんもしてねぇよ。……むしろ」
美乃里ちゃんをたくさん傷つけてばかりだったじゃん。
なんでそんなこと言えるんだよ。
勝手に家に押しかけて、飯までごちそうになって。
あげく、泊まったり。
それ以上に、必要以上に触れて、いたずらして、迷惑かけた。
傷つけることも、たくさん言った。
そんな俺に、なんでそんな言葉をかけてくれるんだ。
「ううんっ。悔しいけど、水牧くんは、いっぱいしてくれたのっ」
『悔しいけど』って。
そんなところがやっぱり美乃里ちゃんで、胸がギュッと鳴る。
やっぱり、失いたくねぇよ。
「だからっ、もう終わりとか、他人に戻るとか、そんな悲しいこと言わないでっ」
「……っ、」
え。
今、なんて?
美乃里ちゃんの声が震えていて、泣いてるようにも感じた。



