「私ね、今までずっと、学校のイベントごととか友達関係とか、わりとどうでもいいって思っていたタイプで。けど、高校に入ってアズコンに選ばれて、水牧くんとペアになって……」
俺の名前を出した途端、勘違いかもしれないけど、少し恥じらうように目線を逸らした美乃里ちゃんが可愛くて。
落ち着いたと思っていた心臓が、また大きくドクンと鳴る。
「……う、うまく言葉にできないけど、家族以外の繋がりももっと大切にしていきたいって思えたんだ」
柔らかい美乃里ちゃんの笑顔に、今まで心の中でぐちゃぐちゃ絡まっていたものがゆっくり溶けていくような感覚になる。
「応援してくれる人たちがいて、そんな人たちの期待に応えたいって思えるようになった。少しずつだけど。そう思えたのは、ずっと、家のことも弟たちのことも全部一人でやらなきゃって抱えてたものを、水牧くんが半分こにしてくれたことがきっかけだと思う」
「えっ、俺?」
まさかのタイミングで俺の名前が出てきて、思わず声を出してしまった。



