怒らせる、また間違えた。
そう感じてすぐに謝ろうと顔をあげたけど。

美乃里ちゃんがあまりにも予想外の顔をしていたので、謝罪の言葉を飲み込んでしまった。

彼女は優しく微笑んでいて、俺の前に同じようにしゃがみ込んだ。

なにこれ。
こんなの……ズルすぎだろ。

……無理……キツネ美乃里ちゃん可愛いすぎるんだけど。

誰だよ、この反則的な耳を美乃里ちゃんにつけようって言い出したの。

キツネ姿の美乃里ちゃんに理性が壊れそうなのを必死に耐えている俺におかまいなしに、

美乃里ちゃんが話し出した。

「これを提案されたとき、こんな私でもみんなの役に立てるんだって嬉しかったの。それがたとえ、利用されているだけだとしても」

その穏やかな声に、俺の心臓も落ち着いていく。

こんな格好、いくら友達のお願いでも、今までの美乃里ちゃんなら断りそうと勝手に思っていたから,そのセリフは意外で。