「本当に『遅い』のは、相手がこの世からいなくなっちゃった時だよ」
「……重すぎる」
泰生って、淡々と物騒なこと言うんだよな。
ていうか、泰生のそういう話ってあんまり聞いたことないかも。
いつも俺のことばっかで。
俺が女の子たちと遊んでいた時も「いつか刺されるよ〜」なんて笑ってたけど。
こいつ自身はどうなんだろうか。
まさか、まじで彼女だった人の身になにか……。
「泰生はさ……」
「俺のことよりまず、自分のしないといけないことちゃんと片してよ。果歩はまだまだ間に合うよ」
「……っ、」
軽く聞き出そうとしたら、俺の言いたいことがわかってたみたいに泰生が言った。
怖すぎる。エスパーかよ。
まだまだ間に合う……か。
「ていうか『俺に落ちない女はいない』って豪語してたあの果歩がこんなに弱気なのおもしろすぎるでしょ」
「はぁ？」
「まぁ、本心言うと、月本さんに盛大に振られる果歩を見てみたいんだよね、俺」
「サイテーだな」
泰生はそう言うとニコッと笑みを向けてきた。
「あと、ライバルが湯前先輩だけだと思わないほうがいいよ？最大の敵は身内にありってね」
「はっ……」
