「そんなに湯前先輩に嫉妬するんなら素直に気持ち伝えてさっさとくっつけばいいのに」
泰生はなんにも分かってない。
わかってないくせにペラペラとうるさい。
どうせ俺がどうなろうが知ったこっちゃなくて、楽しんでるだけのくせに。
俺には美乃里ちゃんの隣に立つ資格はない。
美乃里ちゃんは湯前先輩が好き。
先輩も美乃里ちゃんを狙ってる。
これが事実だから。
昨日の、あのわざとらしい誘い方だって。
俺に対しての当てつけにしか見えなかった。
美乃里ちゃんの隣は俺じゃない、そう言われてるようで。
「今さら、全部おせぇんだよ」
「何が?」
「何がって、」
今さら惹かれてるかもしれないとか、大切にしたいと思っているとか、
俺以外の誰のところにも行かないでとか、
全部だよ。
「果歩も美乃里ちゃんも生きてるんだから、何にも遅くないでしょ」
「……っ」
なんだよ、それ。