「……っ、私は、」

きっと、顔も耳も、全部真っ赤。
ずっと熱くてしょうがない。

でも、今は、先輩の力を借りて───。

初めて言葉にしようって思えたから。

このままは、イヤ───。

「……水牧くんのことが、好き、かもしれない、です、」

「フッ『かもしれないです』って。……まぁそれが今の月本さんの精一杯なんだろうね。おっけー。全力で応援してあげる」

と満足そうに笑った善先輩に、

「さ、早くロールケーキ食べちゃって!まっじでうまいから!」

と促されて、私もケーキを一口、口に運んだ。

甘さ控えめでさっぱりしてて食べやすい、と勧められたロールケーキのはずだったのに、

今まで食べてきたどのケーキよりも甘く感じられたのは、

生まれて初めての恋のせい、なのかもしれない。