「月本さんのためだけど、優勝のためだから。それに……俺、好きなんだよねーこういうの」
「え。こういうのって」
「恋のキューピーって仕事?」
「っ、」
注文したモンブランをフォークで切ってパクっと一口食べた先輩が満面の笑みをこちらに見せる。
「まずは、月本さんが自分の気持ちしっかり認めるところからじゃない?受け止めて素直になってさ。じゃないと心の中でぐちゃぐちゃのままじゃ次に進めないよ」
……自分の気持ちをしっかり認める。
認めたくなかった。
これを『恋』とは絶対に言いたくなかった。
最低で最悪で。
あんな男に落ちる女の子の気持ちなんてわからないって、もちろんそれも本心だったけど。
水牧くんと過ごしていくうちに、いろんな顔を見るたびに、変わっていった。
勝手に、本当はいい人だって信じたくなって、期待してしまうほど、私は彼のことを……。
「……それじゃあ改めて聞くね。月本さんは、水牧くんのことどう思ってるの?」