「まぁでも、その様子だと本番困るね。水牧くんのこと意識しすぎて練習にも集中できないわけでしょ?」
「……っ、」
先輩の遠慮のない猛攻撃に、熱さで頭のてっぺんからプシューといってしまいそう。
身体の熱を少しでもどうにかしようとアイスティーの入ったグラスを持ってストローをくわえる。
「……じゃあ、俺がウォーキングの練習手伝うよ」
「えっ」
まさかの提案に驚いて顔を上げる。
先輩が私のウォーキングの練習を手伝う?
ただでさえ、スタイリストとしての仕事が忙しいはずなのに。
私のこんな悩みのために時間を割いてもらうなんて申し訳ない。
「そんな、善先輩いろいろ忙しいじゃないですか……」
「メンタルケアするのも俺たちの仕事だし。水牧くんとやって集中できないなら、こっちでたくさん練習しようよ。どんなに緊張していても、とことん練習して体に覚えさせれば本番、形にはなると思うから」
「……でも、」
正直、水牧くんとふたりきりでやるよりも先輩との方が変に意識しないで済むって言うのが本心だけれど。
いいのだろうか。