「なるほどね……」

「……ごめんなさい、こんな話」

「いやなんで謝んの。無理やり聞き出すようなことしたの俺だし」

一口コーヒーをすすった先輩が「ていうか、」と付け足す。

「月本さん、その夢のせいで水牧くんへの接し方がわからなくなった理由、知らないの?」

「……えっ、」

なに……それ。

「それとも、知らないふり、してんの?」

善先輩のセリフに、バクンと大きく脈打つ。

「……向こうも同じでしょ」

向こうも同じって……一体。

「あれ、もしかして月本さんって恋したことない?」

「はっ?!」

こ、恋?!

何を言っているんだ善先輩。
恋って。
笑わせないで欲しい。

私が誰に恋してるって言うんだ。

「ち、ちがっ、」

「違うって、言ってることと顔が正反対だけど?」

指摘されなくても、今自分の顔が真っ赤なことはわかっている。

先輩とも目が合わせられない。