「月本さん、なんかあった?」

「えっ、」

「実は今日、水牧くんがバイトあるってわかっててあえてああいう誘い方したからさ」

「……っ、」

それって……。

私とふたりきりでこうしてカフェでお茶する状況になるのが先輩の魂胆だったということ?

「どういうこと、ですか、」

「月本さんとふたりきりでもう一度、ちゃんと話したかったから」

「えと…」

「正直に言って。水牧くんのこと、どう思っているの?」

そんなこと、このタイミングで先輩に聞かれるなんて思っても見なかった。

というか、なんでそんなこと聞くんだろうか。

「今の月本さんのままじゃ、本番失敗する」

「っ、」

それは今、私が一番恐れていること。

「どうしても言えないならしょうがないけど、できれば話して欲しい。ふたりがよそよそしく見えるんだよね。このままじゃステージに影響でる」

先輩にそう言われて、テーブルの下に置いた手をギュッと握る。