モテすぎる男子から、めちゃくちゃ一途に溺愛されています。



「毎日読んでたから、覚えたよ。アカガネサルハムシとか」

「待って……ムリッ……」

そう言いながら、となりの彼は腹を抱えてクククッと笑っている。

そ、そんなに笑う?

「だって美乃里ちゃん、虫嫌いでしょ?」

「え、なんでそれ……」

「柚巳くんが言ってた。だからあんまり虫捕りに行きたいって言えないって」

「あっ……そうだったんだ」

まったく柚巳ったらベラベラと。

でも、まさか柚巳がそのせいで虫捕りに行きたいって言うのを我慢してたんだっていう事実に、落ち込んでしまう。

「美乃里ちゃん、前に柚巳くんがセミをお家に持ってきたとき泣いたって」

うわ、それも話したの。

たしかにセミは苦手で、しかも急に柚巳が見せてきたからびっくりして泣いたけど!

「や、あの、セミは……苦手だけど、でも、私もあの図鑑読んで、かわいい虫もいるんだってわかって、ちょっと好きになったよ!」

「……っ、」

あっ。
『好き』
自分で口にして、意識してしまう。