今までは、水牧くんが一方的にしゃべるばっかで、こんなの初めてだ。
まるで,繋ぎ止めようとしてるみたい。
終わるのが怖くて。
最後になっちゃうのが嫌で。
変だってわかってるのに。
どうしよう。
向こうはもう私と話したくなかったら、なんて後から不安はどんどん出てきて。
彼の次の反応が心配で、手に汗を握っていると、
「え、なに。美乃里ちゃん、あれ音読してんの?」
さっきよりも明るい声が横からしてホッと安心する。
「そ、そうだよ」
チラッと視線を彼に向けて答えれば,「ぷっ」と吹き出した音がした。
「昆虫図鑑を美乃里ちゃんが音読してるの想像したら……ふはっ」
「え、なんで。笑うこと?」
「だって……ハハッ」
水牧くんの笑顔を久しぶりに見た気がして、胸がじんわり温かくなる。
よかった……。



