「うわ。顔真っ赤じゃん。マジかよ」
「え、ちがっ、」
この熱が善先輩のせいだと勘違いされた。
いっそ、先輩に対しての熱ならどんなによかっただろう。
目の前の大嫌いなやつが夢に出てきて、ちょっと甘い言葉を優しくかけられたからって。
こんなのおかしい。
「安心してよ。俺もう、美乃里ちゃんに変なイタズラしないから」
「……っ、」
え。
どういうこと。
「アズコンが終わったら、俺らの関係は終わり。もう剛さんの店にも美乃里ちゃんちにも行かない」
「え、ちょ、ちょっとまって、」
私にとっては一番望んでいたことだったはず。けど……。
「そんな急に……パパも柚巳たちも悲しむよ……」
私や柚巳たちのことはともかく、パパは、水牧くんを常連さんとして以上にものすごく慕っていた。
だから……。
だから、お店にまで来なくなったら……。



