でも……。
『果歩くんは、好きになった人をちゃんと大切にできる男だと思う。ほんとだよ』
『すぐにとはいかないかもしれないけど、果歩くんがいつか本当に大切な失いたくないって思う人ができた時、少しは気持ちが変わると思うよ』
剛さんに言われたセリフが脳裏をよぎって、双子の笑顔を思い出す。
あーあー、……最悪。
……なんで、このタイミングで思い出すんだよ。ほんっとありえねぇ。
「……ハハッ。やっぱ美乃里ちゃんだと興奮しないみたい」
「……っ、は、」
「俺には無理でも、審査員の人にはクるもんあるんじゃない。その水着なら。目指すは優勝だからね。頼んだよ」
「……なっ、」
彼女の目を一度も見ないまま試着室を出て。
「早く行くよ」
俺たちは控室を後にして会議室へと向かった。