「……水牧くん、夕飯食べて行ったら?」

玄関で靴を脱ぎながらいう。

「え……」

「パパの定食じゃないけど、一応、今日のお礼っていうか」

「いいの?」

そう聞いてきた水牧くんの瞳が、飼い主の顔色を伺う子犬みたいで、とっさに目を逸らす。

なに今の顔。調子狂うって。

「味の保証はないけど」

「……いただきますっ、」

「え、果歩、今日ここでご飯食べるの?」

「うん。美乃里おねえちゃんがいいって」

「やったー!じゃあ一緒に風呂入ろう!」

いつもお風呂になかなか入りたがらない柚巳が、自分からお風呂に誘っている……。

ここまでくると逆に水牧くんがどんな手を使って子供に好かれているのか気になってしまうよ。

やっぱり、顔なのか?

「里柚も入る!」

ワイワイと双子が騒ぎ初めて、水牧くんは半ば強引に柚巳に手を引っ張られながら脱衣所に連れて行かれた。

大丈夫かな……。

いや、ご飯食べて行かないかと聞いたのは私の方なんだけど。