「はいはい。照れるからあんまり褒めないで〜」
「褒めてないからっ!!」
「うん、どーも。そう言うことね」
水牧くんは私の声を軽く受け流すと、おもむろにズボンのポケットからスマホを取り出した。
「美乃里ちゃんのQRコード見せて」
「え、なんで……」
「なんでって……柚巳くんたちが通ってる幼稚園のマップとか送ってもらいたいし。やり取りできた方が便利でしょ」
「えっ……行ってくれるの?!」
「うん。今日バイトないし。全然行ける」
まさかの答えに、目を見開く。
「ほ、本当に?」
「なんで嘘つくんだよ。ほんと」
「っ、あ、ありがとう……すっごく助かり、ます……」
そう言いながら、私も彼と同じようにスマホを取り出して、メッセージアプリを起動させた。
アカウントのQRコードを彼の方に差し出す。
「ん。てか、もしかして美乃里ちゃんって、高校入って、放課後友達と出かけたこととかない?」
「うん」
放課後だけじゃない、休みの日だってそうだ。



