どうしよう。
やっぱり自分から水牧くんに頼みごとなんて……。
なかなか言えない。
「なにー?やっぱりあの日、キスしとくんだったとか思ってる?いいよー」
「……っ、」
本当にそういうところ嫌い。
でも、今私が頼れるのは彼だけで。
すごく悔しいけど、双子が水牧くんに懐いているのは事実だから。
「……今日、水牧くんの予定がなければ、なんだけど、柚巳たちのお迎え行くことってできないかな……」
「……え?」
わっ。
さすがに引かれた?!
図々しいのは承知の上だったけど。
今までずっと水牧くんへの態度は悪かったくせに、都合良すぎるよね……。
「ごめん、やっぱりいい!忘れて!」
全然よくないはずなのに慌ててなかったことにしようとして振り返る。
早くこの場からいなくなりたい。
中庭に早く行こう、そう踵を返した瞬間、強く手首を掴まれた。



