諦めのため息とともに、
綺月の背中から足を降ろし

レッスン部屋から、出て行こうとした時


あぐらで、ほう杖をつく綺月が

スマホを見つめていたニヤニヤ目を、
今度は俺に向けた。





「で?」


「綺月、『で』ってなんだよ?」


「昨日、待ちに待った挙式だったんだろ?
 どうだったよ? 花嫁は?」




うわっ。


このタイミングで、
爆弾質問投げてくるって……



今時の高校生、マジ怖ぇ~。




「どうって……言われてもなぁ……」


「名前、みくるちゃんだっけ?
 可愛かったわけ?」



そりゃ……


みくるのドレス姿は

想像をはるかに超える
可愛さだったよ。




俺の心臓が、肌を突き破りそうなくらい
バクバクしてて


心の中の『マジ可愛い!』の連呼が
バレないように

冷静さを
顔に貼り付けるので必死だったし。




……って。

そんな本音、
恥ずかしすぎて綺月に話せるかよ。