「しょうがねぇじゃん……」
「綺月、何がしょうがねぇんだよ?」
「心美を目の前にすると……
『かわいい』『声かけるのムリ』って、
テンパってたんだから。あの頃はさ」
俺の攻めに、屈した綺月は
「ストーカー発言は……悪かったよ……」
頬を真っ赤に染めながら
「氷牙っぽくないことをしちゃうくらい、
その子に、マジ惚れしたってことだよな?」
ゆるいウエーブがかかった前髪を
恥ずかしさをごまかすように
指でこすり始めたから
俺の心が、ざらつきだす。
滅多に俺に謝らない綺月の、
反省を帯びた態度。
それは
俺の心を素直にさせる効能でも
含んでいるのかもしれない。
俺の脳が言葉を紡ぐ前に、
口から本音が飛び出した。



