彼の溺愛 致死レベル ゾルック 四人目





綺月の顔から、スーっと笑みが消え。



「千柳だけじゃなくて、俺にも教えろよ」



真剣な声を震わせ。



「女を食料としてしか見てこなかった氷牙が、
 初めて好きになった子。
 俺も気になるからさ」



漆黒に瞳を凛と揺らし

俺の眼球を貫いてきたから


滅多に綺月が見せない表情に、
俺の心が揺らいでしまう。





「氷牙は、みくるちゃんの父親の
 借金を肩代わりしてまで、
 自分のものにしたかったんだろ?」


そうだけど……



「どんな子なわけ? 
 氷牙が惚れた子って?」



俺に心を許したような
八重歯キランのやんちゃ顔が優しくて。


綺月になら話していいかもと、
心の天秤が傾いてしまう。





1分ほど、黙りこくって悩んだ末

俺はようやく、重い口を動かした。