彼の溺愛 致死レベル ゾルック 四人目





「みくるに……
 お願いがあるんだけど……」




アイドルとして堂々とステージに立つ
氷牙さんと、同一人物だと思えないほど

彼の声は、震えていて



氷牙さんが言っていた『人体実験』は

私達の関係を永遠に無にする
『縁切りの儀式』なんだろうなと

簡単に予想がついてしまう。





きっと、氷牙さんに会うのは、
これが最後。


最後くらい
お願いを聞いてあげてもいいよね?





思い出の中の私は『いい女だった』と
氷牙さんの記憶に、刻まれて欲しい。


そんな
未練たらしい欲が、湧き出てきて。


「氷牙さんのお願いって、なんですか?」


私は、顔中のパーツに命令して
一番いい笑顔を作らせ



「遠慮なく、言ってください」


頑張って、声も跳ね上げてみた。




それなのに。




「……」


微笑んだ私と目が合った氷牙さんは、
気まずそうに俯くだけ。