氷牙さんは、
漆黒の瞳を悲し気に揺らし。
「この俺のマンションに、
これからオマエも一緒に住む。いいな?」
私の頭に、ごつごつした手の平を乗せた。
「……はい」
もう、覚悟はできている。
だって、氷牙さんに
『やっぱり、借金の肩代わりはやめた』
なんて言われたら
私はダメ父と二人で
借金取りから逃げ回る生活が、
始まってしまうのだから。
「この部屋は、みくるの部屋だから、
好きに使って。
足りないものがあったら、遠慮なく言えよ」
「……ありがとうございます」
「ああ? もうこんな時間じゃん。
今日は月曜日だから、みくるは学校だろ?」
切れ長の目の、視線をたどる。
その壁には、
イチゴ型の真っ赤な掛け時計が。



