彼の溺愛 致死レベル ゾルック 四人目




「氷牙の脳に最後に刻印されるのが、
 みくるちゃんの泣き顔になっちゃう
 のって、辛くない?」




「……えっ?」



「本当は、みくるちゃんの笑った顔を
 脳に焼き付けたかったんじゃないの?」






俺を深く心配しているのがわかる
千柳の真剣な瞳が

俺に突き刺さっている。





言い返したいのに

なぜか、言葉が喉を通らない。






みくるの泣き顔で良いのかって?

良いわけねぇじゃん。



俺だって、最後くらい
みくるの笑った顔が見たかったよ。




でもさ……




「泣き顔でも……
 みくるを見れないよりは……
 マシだったから……」




みくるが俺に会いに来てくれた。

その現実だけで、俺は十分だから。