彼の溺愛 致死レベル ゾルック 四人目




組んだ腕に、後頭部を乗せ

呑気に、天井を見上げる千柳。



その横顔を眺め

「そうだったな」と、
しみじみ頷いた俺。






この蜜甘御曹司アイドルは

今でも、つらい過去を思い出しては
顔を歪めてしまう程

記憶抹消能力が、低いんだった。





「でも、記憶力は、ずば抜けて良いよ。
 雪那との思い出が、
 俺の脳から絶対に消えないように、
 日々、鍛錬してるから」




千柳は瞳が見えなくなるくらい
俺に微笑むと。



「でもね……」

急に、表情を一変さた。




千柳が
瞳を悲しそうに揺らしたから

俺の心もざわついてしまう。