「最強総長として、
女子たちにキャーキャー言われても。
氷牙さんに勝てる自信は、
微塵もありませんでしたから」と、
夕焼け空を見上げる総長。
返事に困った私も
オレンジ色の空にすがるように、
視線を逃がしてしまう。
「高校時代。
どれだけ僕があなたに好意を伝えても、
姫の心には響かなかった」
それは……
「下品な父親に育てられたせいで。
総長の極甘ゼリフに、
身震いしちゃうからで……」
「少しも僕の放つ極甘に
揺らいでくれなくて。
僕のメンタルは
ボロボロのズタズタだったんですよ」
「……ごめん」
「謝らないでください」
「でも……」
「プライドが邪魔をして
僕は自分の弱さを、
笑顔で隠していたんですから」
「……」
「気づいてくれない!と嘆くのは、
僕のエゴ以外の、何物でもありません」