夕方の5時。
すなわち、定時になり
机の上に溜まった未処理ファイルに
安堵のため息をこぼす私。
今日分のノルマが片付くのは、
夜9時すぎくらいかなぁ?
パレードは6時半から7時までだから
気持ちの誤魔化しに、ちょうどいいや。
そう思って、
パソコン入力の鬼になろうと決めたのに……
「あら、昴君じゃないかね?」
会社の入り口近くにいた課長が、
金髪ゆるふわ男子に笑いかけた。
あれ?
総長が来たの?
この会社と取引のある会社で
働いているからって
定時過ぎに来るなんて、珍しいな。
忍者気分で、
机の山盛りのファイルに身を隠した私。
チラッチラッと
ファイルから瞳だけ晒しては
課長と総長の会話を、盗み聞き。



