俺は、込めていた腕の力を抜き

みくるを地面に寝かせた。



痛みに耐えるみくるの、涙交じりの瞳が

じっと俺を見つめてくる。




「助けが……
 もうすぐ来るからな……」



俺の言葉に応えるように

みくるが、うっすらと笑みを浮かべた。



笑う余裕なんてないはずなのに

痛々しい笑顔に
俺の心が、えぐられるように痛む。






今、この瞬間が

俺がみくるに触れる、最後かもしれない。



俺の瞳が、みくるを映す
最後のチャンスなのかもしれない。





俺は、みくるの前にしゃがみ込むと


「幸せになれよ。じゃあな」


大好きな赤茶色のゆる髪を、
優しく撫でた。





「……行か…ないで……」


「安心しろ。すぐに助けが来るから」


「言うこと…なんでも……聞くから……」




俺の服の裾を必死につかみ


涙をボロボロこぼしながら

笑顔を作ろうとする、みくる。






俺も本当は、
オマエの側にいたいんだよ。




思いっきり抱きしめて。


オマエが他の男に取られないように、
俺の腕の中で捕まえていたいんだ。




でも……

「ダメなんだよ!」




俺がみくるの傍にいたら

ゾクゾクを吸い取り

オマエの命を、削ってしまうんだから!




それにオマエには、総長がいるだろ?



昼休みに二人だけで過ごすくらい

相思相愛な、イケメン最強総長がな。