「氷牙さんが
電車の中で好きになった女性に、
再会できるといいですね」
「……ああ」
「良かったぁ。
最後に、嘘つきの汚名が返上できて」
「良かった、良かった」と、
満面の笑みを振りまく、みくるなのに
なぜか瞳から、大粒の涙がこぼれている。
その泣き顔が、あまりにも綺麗で。
あまりにも、痛々しくて。
俺の指で、みくるの涙をぬぐってあげたい。
俺の腕で、みくるの抱える苦しみを、
思いっきり抱きしめてやりたい。
でも、ヘタレな俺は
ベンチの上で、石造のように
固まり続けることしかできない。
その時、みくるが
声にならないような声を発した。



