ベンチに座り
太ももに乗せた手を
じっと見つめ続ける、みくる。
その手には、
ぽたぽたと再び涙が落ち
みくるは、
その涙を拭こうともしない。
――好きな女の泣き顔って、
見ていて、こんなに苦しいんだな。
怒りが少しだけ薄らいだ隙間に
罪悪感に似た感情が
流れ込んできた。
――なんで俺、こんなに大好きな女を
追い詰めているんだろうな?
一生、俺のそばにいて欲しくて。
一生、俺の隣で笑っていて欲しくて。
みくるの父親に近づいて。
借金帳消し分の
大金を渡す代わりに
みくるを嫁にもらうための
契約書まで書かせて。
『俺の娘を、
本当に幸せにしてくれるんだよな?』
心配そうに俺の肩を掴んだ、
みくるの父親に。
『死ぬ気で、愛しぬきますから』
歯が全部見えるくらい、二カっと笑って
自信満々に答えた、俺だったのに……



