「姫……」


突然、
隣の席から震え届いた、弱々しい声。




「総長、どうかしたの?」


朝みたいに、顔面から
トレードマークの笑顔を消して。


今にも泣きそうなほど、
顔を歪まして。





「姫は当分の間……
 武道場に来ないでください……」




……えっ?




「僕が良いよって言うまで……
 ずっとですからね……」






総長は私を無視するように

無表情で黙々と
カバンに荷物を詰め込んでいる。




そんな彼に


「あっ、う……うん。わかった。」


私は必死に動揺を隠して

コクコク頷くのが精いっぱい。