綺月はソファーに座ったまま
大きく伸びをしたかと思うと
「俺、人に借りを作るのって、
弱みを握られるくらい
大嫌いなんだよね」
手を頭の後ろで組み。
「氷牙がいくら嫌がっても、
あの時の借りは、きっちり返すからな!」
揺らぐことない意志を、めいっぱい込めた
力強い眼圧を、俺に飛ばしてきた。
この目の時の綺月には、
何を言っても無駄かぁ……
「ライブするって言っても、
メンバーのスケジュールと
ステージの空きが合う日って、
なかなか無いだろ?」
俺の言葉に
「そうなんだよ」と、
頭を掻きむしる綺月。
当分の間は
みくる一人の前でライブなんて無理だなと、
ホッとしたのに……
「氷牙、明日の夕方で良いよな?」
「…………へっ?」
「マネージャーに確認したら、
明日の夕方しか、
時間とれないって言うからさ」



