だだっ広いリビングに反響する、
俺の怒鳴り声。
リビングが、シーンと静まり返った頃。
普段のやんちゃさを消し去った、綺月が
大人びた顔で、
俺の目をまっすぐに見つめてきた。
「俺さ、
子供の頃から氷牙を見てきたからこそ
強く思うんだけどさ……」
「……なんだよ」
「ステージの上で
スポットライトを浴びてる氷牙が、
一番カッコいいじゃね?」
「……は?」
「高級スーツ着こなして
キリっと千柳の秘書をしてる時よりも、
血の通った人間っぽくて。
俺はアイドルをしてる時の氷牙が、
一番好きだけどな」
だから、なんなんだよ!
その甘ったるい褒め言葉は!



